株式会社狩野建築です。
普段何気に使用しているバルコニーですが、ベランダとも呼ぶ方も少なくありません。
なぜ呼び名が違うのかわからない方も少なくないと思います。
今回はバルコニーとベランダの違いやバルコニーの種類や構造、ベランダに関する法律などをご説明したいと思います。
バルコニーとベランダの違い
(バルコニーとは)
戸建て住宅やマンションなどで室内から室外に安易に出入りが出来る建物からせり出しているスペースの事ですが、屋根がなく2階以上に設置されているものをいいます。
(ベランダとは)
バルコニー同様で戸建て住宅やマンションなどで室内から室外に安易に出入りが出来る建物からせり出しているスペースの事ですが、ベランダには屋根や庇がついていて、屋根さえ設置してあれば1階でもベランダと言われています。
バルコニーとベランダのメリット・デメリット
バルコニー・ベランダのメリット
洗濯物や布団など手軽に干せる
バルコニーは部屋から出入りが安易に出来ているケースが多く布団や洗濯ものなどをが手軽に干せます。
また、バルコニーは南面に設置することが多く天気の良い日などは洗濯物の乾きも早く自然乾燥なので太陽のぬくもりでさわやかな気持ちにもなると思います。
プライベートな空間をつくる
バルコニーの広さにもよりますが、ルーフバルコニーなどの広いスペースがあれば趣味の園芸で家庭菜園をすることも可能ですし、鉢植えのお花などを育てることも出来ます。また、アウトドアが好きな方には最高のプライベートスペースが出来ます。
バルコニー・ベランダのデメリット
砂埃などが飛んできて汚れやすい
バルコニーやベランダは室外にある為、風などで砂埃や場所により落葉などが飛んできたりして汚れが溜まりやすく場合により排水口が塞がり雨漏りの原因にもつながる可能性があります。その為、定期的なお掃除を心掛ける必要性があります。
天候に左右される
バルコニーには屋根がない為、洗濯物やお布団などを干して、突然の雨などで洗濯物やお布団が濡れてしまう場合があります。
その点ベランダの場合、屋根がかかっていますので、雨が吹き込まなければ多少の雨なら濡れずにすみます。
バルコニー・ベランダの種類(造り)
戸建て住宅のバルコニーやベランダには大きく分けて、鉄骨バルコニーやアルミバルコニー、木造バルコニー又は床は構造材で造り手摺をアルミや鉄骨で造るタイプと幾つか工法があります。
鉄骨バルコニー・ベランダ
鉄骨バルコニーとは古い建物などでよく見かけると思います。
鉄骨バルコニーの構造体は柱・手摺・根太・大引き・梁などがすべて鉄骨で出来ており、重量が重く建物にもかなりの負荷を与えます。
鉄骨バルコニーは鍛冶屋さんが工場加工や溶接をしてきて現場でボルトなどで組立取付けをします。
鉄骨バルコニーの床は主に樹脂製のデッキを敷くことが多いのですが、まれに木のデッキ材を敷いてある家もあります。
鉄骨のバルコニーは直接雨や風などの影響を受けやすく経年での劣化も早い為、こまめに塗装などのメンテナンスをしなければ、柱や梁・根太などが錆などで腐食して鉄骨の柱や梁などに穴が開きとても危険な状態になるケースも少なくありません。
アルミバルコニー
アルミバルコニーとは手摺・柱・根太・梁などの構造体がすべてアルミで出来ていて、軽量で耐久性にも優れています。
また、多彩なデザインがある為、木目タイプのものからモダン風のものまであり建物の雰囲気に合わせて自由に選べます。
アルミバルコニーは鉄骨バルコニーのようなメンテナンスは不要ですが、経年劣化で床のデッキ材や塩ビの排水管が傷んだりして交換をしなければならない時期が来ますが、メンテナンスの修繕費は鉄骨バルコニーや木造バルコニーに比べると低予算で出来るのが魅力的です。
リフォーム工事で後付けの場合はバルコニーに柱を立てることによりバルコニーを支えていますが、新築などでアルミバルコニーを設置する際には建物の構造体から専用の金物を取付け柱無しでアルミバルコニーを設置することが可能です。
新築注文住宅のアルミバルコニー
リフォーム工事の柱建てバルコニー
木造バルコニー
木造バルコニーには新築時に建物と一体化させ、建物の構造材から跳ね出してバルコニーを造り、床は防水をする場合と防水をせず木部を見せるデッキ仕様のバルコニーとあります。
どちらも大工さんの経験と腕が要求されます。
新築工事でバルコニーを跳ね出しで造るには、建物の構造を知らないことには建物が出来上がった後大変なことになります。
なぜかというと、建物本体からバルコニーが跳ね出してあって、しかもバルコニーの下には柱を建てないのですからバルコニー本体の自重に耐えられる造りにしなければなりません。
その為、木造在来工法も木造軸組み工法(ツーバイフォー工法)の場合、建物の内部の骨組みからバルコニー本体をもたせる構造体を跳ね出しバルコニーの自重に耐えられる造りにしなければなりません。
現在の木造住宅のバルコニーの防水はFRP防水が主流になります。
FRP防水の場合、メンテナンスの時期は新築で家を建ててから5年程度でトップコートを塗り直した方が紫外線などからバルコニーを守ることが出来、防水層も傷みにくいのですが、なかなかできるものではありません、しかし、10年に一度は必ず防水をすることをお勧め致します。
木造軸組み工法(ツーバイ工法)のバルコニー
バルコニーの出幅が900㎜、全長が6000㎜で外壁の仕上げ材はタイルです。
防水の種類はFRP防水です。
これだけの大きさのバルコニーが建物本体からせり出しているので、建物本体を建てるときにはかなりの補強工事が必要になります。
補強の方法は建物の室内側から構造材をバルコニーの出幅まで跳ね出します。材料は大きい方が効果はありますが、建物には高さ制限がありますので、構造材が大きすぎると1階の天井に影響してしまい、天井の高さが低くなりますので、建物に合わせなるべく大きめの材料で構造材を跳ね出します。
木造在来工法のベランダ
ベランダの出幅が900㎜、全長が3640㎜の戸建て住宅です。
外壁材はアルミ製のサイディングで防水の種類はFRP防水です。
この建物は一階部分の上にベランダが設置されている為、構造材に関してはベランダの下に柱や壁があるので、跳ね出しバルコニーに比べると構造的には特に問題はありませんが、ベランダの下に部屋がある分、定期的な防水をしなくては雨漏りなどがした場合、まともに室内に被害が及ぼします。
木造在来工法のバルコニー
バルコニーの出幅が900㎜、全長が3600㎜の戸建て住宅です。
防水の種類はウレタン防水です。
木造在来工法のバルコニーですが、手摺はスチールの縦格子仕様です。
この建物もバルコニーが建物本体からせり出している為、跳ね出し部分の補強が必要になります。
木造在来工法のルーフバルコニー
約13㎡のルーフバルコニーです。
防水の種類はFRP防水です。
ルーフバルコニーは広い為、色々な活用方法がありとても素敵な空間です。
洗濯物を干すにも広いし天気の良い日は乾きも早く、またテーブルなどを置き読書をしたりバーベキューなど様々な楽しみ方が出来ます。
しかし、建物の最上階にある為メンテナンスを定期的に行わないことには建物内部まで影響をもたらすことになります。
雨漏り被害
雨漏りの被害でこのような状況になってしまうと修繕費も高くなり、建物からせり出しているバルコニーなどは、跳ね出している補強材が腐食してバルコニーを支える強度も低下します。
最悪の場合バルコニーをすべて壊し、新しく造らなくてはなりません。
バルコニーの建築基準法の制限
バルコニーの法的な制限は用途や設置される位置により制限が変化します。
①手摺の高さ
屋上広場又は2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手摺・壁・さく又は金網を設けなければなりません。ただし、人が出入りしない屋根としての機能を果たすパラペットなどは適応されません。
②床面積
建物には容積率と建ぺい率とがあります。
容積率とは、建築物の延床面積の敷地面積の割合の事をいい、建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合の事をいいます。
一般的に床面積に加算されるのは、壁や屋根などに囲われていて室内として使用する場所をいいます。
バルコニーの場合、屋根がなく建物からせり出しているのですから、本来床面積には含まれませんが、例外もあります。
①バルコニーのせり出した部分が2mを超える場合はバルコニー全体の幅から2mを差し引いた部分が床面積になります。
②インナーバルコニーのような室内の一部をバルコニーにする場合は床面積に加算されます。
その理由として用途的に室内と見なされるからです。
バルコニーの床の勾配
バルコニーやベランダは雨水を排水口に流さなければなりません。
その為、防水勾配をとる必要性があります。
性能保証住宅設計基準に定められているバルコニーの床勾配は1/50以上の勾配をつけることになっています。
また、排水口にまでの勾配は1/100以上あると安心でしょう。
施工する大工さんにもよりますが、床の勾配のとり方は様々です。
①排水口側に片流れで1/50の勾配を造り排水口側に120㎜程度の溝を設けそこから排水に片流れで1/100勾配をとる場合。
この場合は溝がある分バルコニーが狭くなります。
②溝を造らず床自体を排水口に向け一気に1/100の勾配をつける場合。
この施工方法は難易度が高いですが、溝を造らない分広くなり使いやすくなるでしょう。
これまで、バルコニーとベランダに関するご説明をさせて頂きましたが、弊社、株式会社狩野建築は戸建て住宅の新築注文住宅からリフォーム全般(水回りのリフォーム含む)をすべて一括して請け負っています。
ご要望がありましたらマンションリフォームなどもしております。
地元川崎で大工職人として30年の経験と実績がありますので、お気軽にご連絡ください。